« May 2004 | Main | July 2004 »

2004.06.26

『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG #07, #08』

 #07 Pu(プルトニウム。質量数と原子番号が付くのだが表記不能)
 #08 FAKE FOOD

 できるだけネタバレしない、というのがポリシーなので、書けることは少ない。

 とこれまでは思ってたけど、「続きを読む」機能を使えばそれもできるんだよね(そういえばこないだその技使ったか……)。途中からベーシックからプラスに変えたからね。今度からはそうする。でも今回はもう書いちゃったから勘弁して。

 #07は#06で発見されたプルトニウムの搬送に9課が関わる、というストーリー。

 #08は9課の作戦行動が思うようにいかないのだが、それに関わる人物は……。

 ひとつ、「感染」という言葉がキーワードが出てくる。今後どのような展開を見せるのか。ちなみにFAKE FOODはガセネタ、と言う意味と、トグサが口にして「まずい」と言ったアンドロイド用のサンドイッチを掛けている、と思う。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.06.24

『Difficult to Cure』Rainbow (1981)

 レインボーというバンドについてそれほど良く知っているわけではないのだが、というか、メンバーがしょっちゅう入れ替わっているし音楽性は変わるしで、ある意味捉えどころがないのだ。

 本作はアメリカ向けに前作に続けてキャッチーに作られたとかで、現在でも賛否両論の嵐であるが(といってもどのくらいの人がレインボーを知っているのか分からないけど)、私が聴いた限りでは確かにキャッチーかもしれないけどレインボーの顔(というかレインボーそのもの)のリッチー・ブラックモアのギターが独特の粘っこい哀愁ある音色を出しているので、明るくなりすぎない印象がある。というかアメリカみたいなはじけ方をしない。

 このアルバムが最所にインパクトを与えるのはジャケットに違いない。気になる人は、「アイ・サレンダー」とかで検索してみてください。

 友人によれば最所は"Difficult to Cure"を邦訳した『治療不可』というタイトル(この訳をした人を、ピンクフロイドの"Atom Heart Mother"を『原子心母』と訳した人と同じくらい尊敬する)だったらしいが、廉価版になったときに一曲目の『アイ・サレンダー』に変わったという。なぜだ。絶対に『治療不可』のほうが格好いいのに。


 収録曲

1. I Surrender
2. Spotlight Kid
3. No Release
4. Magic
5. Vielleicht das Nachste Mal(Maybe Next Time)
6. Can't Happen Here
7. Freedom Fighter
8. Midtown Tunnes Vision
9. Difficult to Cure(Beethoven's Ninth)


 メンバー

Ritchie Blackmore : Guitar
Don Airey : Keyboards
Roger Glover : Bass
Bob Rondinelli : Drums
Joe Lynn Turner : Lead and Backup Vocals


 後半になるほどハードになる印象。8曲目はジミヘンっぽい。9曲目はベートーベンの第九を料理しました、というインストナンバー。これが『治療不可』。二度聴いた限りではやっぱり『治療不可』がいちばん好きだな。あの第九の歓喜の歌のメロディをリッチーが奏でたり、キーボードの人がオルガンソロに走ったり。ちょっとイカレてる。このへん割とマジでやってるYESなんかとは対照的な感じ。まあ、YESはプログレだし。

 なお、本記事を書くにあたって「レインボー研究所」を参考にしました。何しろメンバーチェンジが激しいバンドなので。ツェッペリンみたいだと楽なんだけど。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.06.20

『はつ恋』未映子 ビクターエンターテイメント

 未映子さんはもともと別な名前で二年前にデビューしていたのですが、その後今の名前に変えて昨年末に「瞳ヴァイブレイション」という曲で再デビューしました。

 で、この「はつ恋」はセカンドシングルということになるのですが、ファーストとは何もかもが違う、といってもいいくらい、違います。

 いちばん単純な言葉で言ってしまえば、「肩の力が抜けた」ということだと、私は感じています。ファーストは決して悪くはなかったけど、ちょっと頑張りすぎているのじゃないかな、と余計な心配をしていました。でも、「はつ恋」ではまるで別人のようにおおらかに、力強く、歌っているではありませんか!

 未映子さんはもとからとても歌のうまい方で、そして何よりも声が素晴らしいのです。

 そのテクニックと声との絶妙なコンビネーションが、今作で一気に開花したという印象を受けました。

 たとえばタイトル曲の「はつ恋」で聴かせるバラードは、聴覚以外のすべてを忘れさせてしまうくらい素晴らしいのです。彼女はこれまであまりこういう曲を歌ってこなかったので驚かされるましたが、あっという間にその世界に引き込まれてしまいました。。

 シングルなので、収録されているのは3曲だけですが、ほかの2曲もこれまで以上に強いオーラを放っています。

 あと、こういうことはあまり書かない方がいいのかもしれませんが、今まではバンドアンサンブルとかアレンジなどが、微妙にそぐわない感じがしていたのですが、今回はそれもぴったり合って、とても心地よいのです。完成度が高い、ということだけでなく、それにプラス・アルファがあるのです。それも、この作品を素晴らしいものにしている大事なファクターのひとつであることは間違いないと思います。

 7月にはアルバムも出るので、そちらも今から楽しみでなりません。ぜひ多くの方に聴いて欲しいと思います。

 収録曲

01.はつ恋
02.オレンジの火
03.愛よ もっと

未映子 OfficialSite

| | Comments (4) | TrackBack (0)

2004.06.19

Art Attack Blythe Re-created (ネオ・ブライス 3rd アニバーサリー)

 今年でネオ・ブライスが誕生してから満三年。その3rdアニバーサリーにあたる「Art Attack Blythe Re-created」を青山のスパイラルに見に行ってきました。

 その前に、ブライスって何?ネオ・ブライスって何?という方はBlythe公式サイトをご覧ください。

 でも簡単に説明すると、1970年代の始めにアメリカで生産された幻のドールです。日本でいえばリカちゃんみたいなものですが、目の色が変わる、頭が大きすぎる点などが子供たちにほとんど受け入れられず、たった一年で姿を消してしまった不運なドールなのです(その当時のブライスはヴィンテージ・ブライスと呼ばれ、大学出の初任給よりも高値で取り引きされることも珍しくありません。特に状態のよいものだと、それどころではありません)。

 それを再び見いだしたのがジーナ・ガランという写真家で、彼女がブライスに惹かれることがなければ、いま、私たちはブライス・ドールを比較的手軽に手に入れることなどできなかったでしょう。

 日本で最所にブライスがブレイクしたのは、おそらくパルコのCMによってでしょう。私もそのひとりでした。世の中に、あんなに可愛い人形が存在するなんて!ネットで検索しまくったり、海外のオークションで手に入れようか、などと考えていたとき、レプリカが生産されるという話が出てきました。それがネオ・ブライスです。

 三年前、それなりに苦労して手に入れた最所のネオ・ブライス(モンドリアン、と呼ばれています。最所名前はなかったのですが、アメリカで売り出されたとき、着ている服の模様が画家のモンドリアンの有名な絵画をモチーフにしたものだったので、そう呼ばれるようになりました)を手に入れたときの嬉しさといったら!(でも、うちに遊びに来た男友達は、ぎょっとして大声を出していました。なんて失礼な)

 それから三年間、紆余曲折を経て、今売り出されているようなブライス・ドールになりました。最所はボディがリカちゃんのものだったのですが、その後より完璧なレプリカにするために、二度にわたって改良が施されました。そしてこの春、目が少し下向だったのをもう少し上向きにするように再び改良が施されました。

 ここに至るまでにはものすごくいろいろなことがあったのですが、あまり語りたくありません(見ていて悲しくなるようなやりとりが何度も繰り返されたり、返品騒ぎがあったり……)。もしそれでも知りたい、という方がいらしたら、検索を掛けてみてください。

 ……簡単なはずの説明がすっかり長くなってしまいました。たぶん肝心の本文の方が短くなるのではないかと思います。

 私は1st、2nd、そして今年の全てのアニバーサリー・イベントに足を運んでいますが、毎年華やかさが増してきていると同時に、年齢・性別を問わず(女性の方が圧倒的ですが)より多くの人たちに浸透しつつあるなと感じています。

 今年もたくさんのブランド・デザイナーなどによるカスタマイズされたブライスが出品されていました。素敵!というのもあれば、ちょっと怖いかもしれない、というのもあれば、可愛くて仕方がない、というのもあれば、神秘的、というのもあれば、という具合で、カスタマイズする方によって見事に「化ける」ブライスにすっかり感心すると同時に、再び魅了されてしまいました。

 どれがいちばん、ということはいえませんが(どれも素敵なので)、アイディア的にすごいと思ったのは比日野克彦のカスタマイズでした。特に、永谷園のお茶漬けの袋を使って江戸の町娘ふうに見えるようにしてあったのには、さすが、と思いました。

 あと、一年前には考えられなかったことですが、ブライスドールも割と簡単に手にはいるようになってきました(価格は別として……一体あたり一万円くらいします)。以前は欲しいドールを手に入れるのは、並大抵のことではなかったのです。安定した生産量が確保できるようになったということなのでしょう。できれば、品切れしてしまったものを再生産して欲しいと思ったりもします(「アジアン・バタフライ」を手に入れられなかったのは、とっても残念で仕方ないのです)。

 あと、ブライスにはプチブライスという手のひらに乗るような小さなものもあり、こちらは価格も比較的手ごろ(といっても、大きさの割には高いと感じる人もいるかもしれません)なので、こちらをコレクションしていくのも悪くないかもしれません。小さいので、カスタマイズにはかなり高度な技術が必要だと思われますが、検索すれば必ず何らかのヒントが見つかるのではないかと思われます。ネット上にはブライスファンがたくさんいて、たくさんのサイトを開いています。

 その、プチブライスと、キューブリック(ってよく知らないんですけど)、そしてこれまでに発売された全てのネオ・ブライスと、今年のアニバーサリーブライスも展示されていました。アニバーサリーブライスは限定品で、抽選でしか手に入れることができません。が、価格も相応なので、応募するときには覚悟した方がいいかもしれません。

 それと、今年はショップにドールがたくさん並んでいました。去年はアウトフィットや絵はがき、本などが中心でしたが、これもブライスが安定して生産できるようになってきた、あるいは売れるようになってきた、ということなのでしょう。

 ウェブでもブライスの画像はいくらでも見ることができますが、実物はやっぱり違います。明日までなので、もし興味を持たれた方は、ぜひ見に行ってください。

 ところで最後にひとつだけ自慢。1stアニバーサリーのとき、平日の昼間だったのですが、なんと、ジーナ・ガランが会場にいたのです!会場での写真撮影をしていたのですが、声を掛ければ掛けられないこともない雰囲気だったので、サインを貰おうと思えばきっと貰えたでしょう。今から考えれば、惜しいことをしたものですが、シャイな私にはなかなかそういうことはできないのですよね……。

| | Comments (6) | TrackBack (1)

マッハ!!!!!!!!

 いま、いちばん気になる映画。感想中心のブログだけど、たまには逆もいいでしょ?

 キューティーハニーを見に行ったとき予告編をやってたのだけど、五つの誓いを立てていました。要するにハリウッド的なギミックは使わない、ということと、主役は俺様、最強の格闘技、ムエタイで戦うということ。詳しくは公式サイトを参照してください。

 いい意味でのバカ映画だったら最高だろうとすごく期待してるんですけど、サイトも変に熱いし、何かが歪んでるし(笑)。あの仏像は?それからあの三輪車のタクシー(なんていうんだっけ?)は????????

 予告編の最後では、みんな爆笑してました。その予告編も公式サイトから見れます。

 「マッハ!!!!!!!!」公式サイト

| | Comments (0) | TrackBack (1)

2004.06.18

トラックバックの功罪(というほどのものでもないか)

 いま個人的にトラックバック強化週間をしているのだけど、実はスパムになってる場合も多いような気がしてきた……。

 もし、うちからのトラックバックが的はずれだと思われたら、解除してくださいませ。すみません。

 本人的には一応考えてトラックバックしてるつもりなんですが……

| | Comments (3) | TrackBack (1)

『のだめカンタービレ #1』二ノ宮知子、講談社

 世の中ではすっかり有名な漫画らしくて、現在は9巻まで出ていて、しかも何か賞を取ったという噂すら聞いているのだけど、私のブログを訪れるような人ならひょっとしたら存在すら知らないかもしれないと思って記事を書こうと思ったのであった。

 というと偉そうだけど、久しぶりにものすごくツボにはまった漫画で、書かずにいられなかったんだけど、何をどんなふうに書いたらいいのか迷って、今日に至る、というところだろうか。

 とにかく勢いだけで行くからね。

 3巻まで買ってあるけど、もったいなくて、まだ1巻しか読んでいない。最低三度読んでから次の巻を読もうと思っているのだけど、いろいろあってまだ二度しか読んでいない。この記事をアップしたら三度目を読もうと思う。

 ひとことでいえば音大コメディ。音楽的天才千秋真一と、「のだめ」こと野田恵を中心としてストーリーが展開していくのだろうと思う(一巻しか読んでないからそれしか言えない)。クラッシック音楽のことなんて何にも知らなくても楽しめる(それなりの知識があればもっと楽しめるだろう)。

 結構矛盾するような言葉の表現が出てきたりするんだけど、それは作者がわざとそういう言葉をぶつけているのであって、何らかの領域で「創造」に携わった人になら、納得の行くものだと思う(そんな「言葉の矛盾」なんて気にするのは私くらいかもしれないけど。もちろんそのテクニックというかそれによって表現されているものがものすごく的確だと思うからわざわざこんなこと書くんだけど)。

 とにかく、有名になるだけのことはある漫画だと思うので、ぜひ一度読んでみてください。以下、千秋とのだめのキャラと出合についてどうしても触れておきたかったので、興味のある人は読んでみてください。ただしネタバレしてるので注意。先入観無しで読もうと思う人は読まない方がいいかもしれません。

[bk1へ]

Continue reading "『のだめカンタービレ #1』二ノ宮知子、講談社"

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.06.17

『人に言えない習慣、罪深い愉しみ』高橋源一郎、朝日文庫

 高橋源一郎の書評集はいったい何冊読んだだろう?出ただけ全部読んだはず。

 あと、講談社文芸文庫と学術文庫の柄谷行人の本も、八、九割読んでいる。本の読み方はこの二人の著書から七十パーセントくらいは習っているんじゃないだろうかという気がする。滅茶苦茶偏っている。優れた批評家は他にもたくさんいるのに。江藤淳とか。最近なら斉藤美奈子(もっと読みたいのだが、なにしろ文庫になっているものが少なくて……場所とお金の問題と、あとやっぱり趣味の優先順位かな)。

 で、この本についてどんな感想を書いたらいいのだろう?書評に対する感想?

 不思議なもので、書評集に取り上げられている本を実際に手にとって(あるいはウェブで検索して)、そして購入に至る、という例はそんなに多くない(だってこの書評集だけだって百冊以上の本が取り上げられているのだから、というのもあるけど、それとは別に)。読んだ中で、頭の中に引っかかった何冊かが、たまたまリアル書店に立ち寄ったときに手招きをしていたり、ウェブ上で全くの偶然がいくつか重なって、その本が輝いて見えたりとか、そういうことの方が多いような気がする。

 たぶん、私にとって意味のありそうな本(分野を問わず)が頭のどこかに引っかって、「時」が来ると私の目の前に姿を現すのだろう。だから、面白そうだと思った本があっても特にチェックすることはしない。

 ところで、この本とは直接関係ない話だけど、不思議なことだが、読んだこともない本の書評を読んでいるだけでも、本の読み方、というのがだんだん分かってくるような気がする。気のせいかもしれないが。すごく若い頃は知らなかったのだが、本を読むのにはそれなりのテクニックが必要なのは確かだ。テクニックに応じて本は自在にその姿を変える。これは若い頃に読んだ本をもう一度読んでみると分かる。感性が変わったのではなくて、圧倒的に読みとれる情報量が増えていることが実感できる。実感できなかったら……ちょっと悲しいかもしれない。

 まあそんなことはどうでもいいんだけど、高橋源一郎の新しい書評集が出たら、きっとまた買ってしまうんだろうな、というのは確かなことだ。食べるのに困っていたとしても。

[bk1へ]

| | Comments (0) | TrackBack (1)

2004.06.15

キューティーハニー

 冒頭最初に思いついた言葉は「お色気」。なんて懐かしい言葉!死語でしょうね。ハニーがバスタブに浸かってるだけで漂ってくる「お色気」。ぜんぜんエロティックじゃない。キュート、って言い換えてもいいかもね。これって今時すごいことだと思わない?

 全編に渡ってお色気キュートはもちろん、カラフル、微妙にレトロ。みんな携帯使ってるのに。ちなみにハニーの携帯はAUだった。冒頭大写しにされてました。他の人もAUなんだろうな。

 で、おバカだったりベタなギャグだったりするけど、笑える。派手にぶっ壊す部分には全く「タメ」がい。ひたすらスピーディー。だから笑えるし「泣き」が入らないんだよね。そう、70年代テイストなんだけど、まさに21世紀初頭に相応しいテクニックに裏付けられている。「タメ」も「泣き」も歴史的には素晴らしい技だったけど、やっぱり今それをやっちゃうと映画自体が色褪せちゃう。

 物語はハニーの父親を殺した悪の組織パンサークローと戦うというもの。ハニーは普段は間抜け(というか仕事しろよ!)で孤独なOLだけど、ことが起これば愛の戦士キューティーハニーに変身。

 如月ハニーは事故で死んだのを父親によって蘇させられたアンドロイド。だから過去の記憶はない。ハニーの、孤独とともにもう一つの影の部分。

 首のチョーカーに触れて「ハニーフラッシュ!」と叫ぶと変身できるのだが、エネルギーが足りないと変身できない。そのエネルギー源というものが……ネタバレするから書かないけど、個人的にはツボ。

 戦いは冒頭からあっという間に始まってしまうので息つく暇もないというか素晴らしいテンポ感。

 で、戦いは結構ギャグ。おバカ。そして何度も言うようにスピーディーだからだれないし。飽きない。飽きてる暇がない。

 最初の戦いで女警部秋夏子(すごい名前!)と知り合い、なっちゃん(謎の新聞記者早見青児に「なっちゃん」と呼ばれてからそれが定着してしまう)がハニーを執拗に追ううちに、プライドが高くて(ハニーと同じように孤独で)人を寄せ付けない性格なのに、ある事件をきっかけに、少しずつハニーに心を開いていく。個人的にはこの過程にいちばんぐっと来てしまいました。ちょっと泣けた。あ、以前に書いた「泣き」とは違うからね。

 そして戦いを重ねながら、ラストへと向かうわけだが、あのラストも個人的には泣けた。あ、ラストって、最後の戦いのところね。

 もちろん最後は大団円。ハッピーエンド。あっという間に終わっちゃったっていう寂しさがちょっとだけ残るところがいいね。

 ひとつだけ不満。私が見に行ったのは平日の昼間だったんだけど、映画館がらがら。もっとみんな見に行ってよ!


(本文は公式サイトを参考に書きました。)

| | Comments (10) | TrackBack (1)

2004.06.13

ほぼ日刊イトイ新聞(デリバリー版)

「ほぼ日刊イトイ新聞」をご存じの方は多いと思いますが、それのデリバリー版というがあるのはご存じでしょうか。糸井さんの日記と、読者からのメールを絶妙な感覚で編集したメールマガジンなんです。もしかしたらここを読んでる方の多くが、すでに購読されているかもしれませんね。もしご存じない方は、試しに購読してみてください。「ほぼ日刊イトイ新聞」のトップページから購読の申し込みができます。

 なぜいまさら有名な「ほぼ日」やデリバリー版について書くかというと、プロフにも書いたし、記事にも書いたけど、私は今神経症という病気にかかっていて、デリバリー版を読むことで、その日の気分が割と客観的に判断できることに今朝気づいたからです。すごく共感できたり、笑えたり、ほろりとしたりできるときは、気分のいい日。読んでも、うまく感情が動かない日は、実は気持ちが落ち込んでいるらしいのです。

 言ってみれば、精神状態のリトマス試験紙ですね。こんな読者がいるって知ったら、編集されている方はいい気持ちがしないかもしれませんが。

 でも、自分で自分の気持ちや精神状態を「客観的」に計ることはとても難しくて、ものすごく落ち込んでいたり、ものすごくハッピーだったりするのはたぶん誰でも自分で分かると思うんだけど、もっと微妙な精神の変化というのは、実は自分ではよく分からないんだな、と、夕べ配信されたデリバリー版を今朝読んで思ったんです。

 このデリバリー版のすごいところは、どんな話題でも、それこそリトマス試験紙や、化学の実験とかで使う試薬のように、すごく正確な基準値を持ってるということなんです。

 ……わかりにくいいい方ですね。すみません。文章の持っている「体温」が、健康な人のように一定なんです(一日のうちの微妙な変化は、毎回の話題の違いに相当します)。

 だから、こころのリトマス試験紙なんです、私にとって。好ましく感じられたりする日があったり、文字の羅列のように感じられたりする日があったりするのはなぜだろう、と最近疑問に思っていたのですが、どうやらそういうことらしいのです。というのも、別の日に読むと、文字の羅列に感じられたデリバリー版がこころにぐっと来たりするし、その逆もまたあるからなんです。

 最近医者には「精神状態は安定しています」と自分の感じるままを述べてきましたが、それはあまり正確ではなかったようです。今度からはデリバリー版を参考にしてその日のこころの有り様を判断していこうかなと思っています。そうすることで、早く病気から開放されると思いますし。

「ほぼ日」のみなさま、もし、何かのきっかけでこの記事を読まれて不快に思われたら、ごめんなさいm(__)m

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.06.12

『新現実 VOL.3』責任編集 大塚英志、角川書店 (パート1)

 サイドバーに載せてたのをまとめ直してみました。でも必要最小限の手直ししかしないつもりなので、現在進行形の文章がそのまま残っていたりします。
 雑誌自体はまだ半分弱しか読んでませんが、パート2が書かれるかどうかは微妙。

     *

 ジャンクな文芸誌(除オヤジ系)が読みたくて手に取ったのがこれ。だっていきなりロリコンチックな表紙だったりするんだもん。ジャンクかなって。でも中身は結構まともというかまじめなものだったりした。とりあえず宮台真司×大塚英志の対談を読んでるけど宮台真司が「バカ」を連発したりイライラしてるのがよく分かったり今まで興味持ったことなかったけど頭いい人だったんだってことが分かっただけでも収穫。分厚いので全部は読まないと思う。拾い読み。表紙に「フィギュアはついてません」とあるのがご愛敬。

 宮台の戦略というのは分かったけど、大塚の危惧するように、そううまくいくとは私には思えないんだけど。というのも、私たちはそれほど頭よくないから、「裏切り者」と宮台を切り捨てて前近代的改憲運動へと邁進してしまいそうな気がしなくもない。結局付いていけるのは宮台の想定している一部のインテリだけで、それだと宮台のシナリオもパーになってしまうんじゃないかって気がして、ちょっと不安。

     *

 大塚×香山リカの対談に突入。とりあえずそこまで読めばいいかなと。個人的には。雑誌に載ってる小説ってどうして読む気になれないんだろう?

 大塚×香山も読了。いやはや。対談はとても面白かったし、まさにその通りだと思ったけど、そんなにひどい状況に(社会が?国家が?)なってるとは知らなかった。そういう世界から遠ざかっていたから。それにイラク人質事件で病気悪化したくらいだからそんなことにまともに取り組んでたら病気治んないし。誤解されてもいいけどひとこと言わせてもらえれば「もっとしっかりしてくれよ、右翼の連中!」に尽きるね。しかし、わたしもいつの間にか香山リカと同じように左の端っこに取り残されちゃってるんだろうな。ケセラセラ。

 あと、気になるのが香山リカの危惧。大阪池田小事件などで、長い年月をかけて培ってきた精神医学が作り上げてきたものが瓦解しかねない状況にあると。これは相当にヤバイ状況だ。私も一応「精神病」だからな。あと半年くらいで治りそうだけど。

 つまり、精神病患者を「座敷牢」から社会復帰へとの流れがこれまで精神医学が懸命に努力してきた成果なのに、なぜか世論はたったひとつの事件(まあ、尋常ではない事件であるが、個別の)で、ほかの全ての、社会復帰して普通に生活している患者さえも「座敷牢」に戻してしまおうという方向に動きつつあると。

 あれがショッキングな事件であるという事実は全くその通りであるが、加害者は精神病患者というよりも人格障害であったのではなかったか?(間違ってたら指摘してくれ)

 それに、殺人事件を起こしてしまう人たちの大半は、精神病患者ではない(統計みればはっきりするはず)。

 何か、理解できないことが生じると、このすぐあとで登場する上野俊哉が言うように、ある種の短絡(ショートサーキット)がまるで必然でもあるように生じてしまうと言うことなのか?

 それは文学の言葉で言い換えれば、「物語」に回収されてしまう、ということになる。これは、精神的に耐えきれないほどの負荷が生じたときに自動的に働く回路のようなものだ。まさにショートサーキット。ブレーカーが飛ぶのとは違う。

     *

 結局大塚×志位の対談も読んでしまう。おいおい志位さん大丈夫か?という気に。最初から全てのことに答えを持っている人はヤバイ、というのは常識ではないのか?志位さんのいうのと違った意味での柔軟性を持たないと、共産党、やばいんじゃないの?それに対して全てのことに全く答えを持っていないのが自民党。ほとんどアメーバ。単細胞で自己分裂を繰り返し、周囲のものを取り込んで栄養にしてしまう。

 なんか、我々は恐ろしい場所に立っているような気がするぞ。大丈夫なのか?我々?

     *

 そのあとまた続きを読んでしまう。上野俊哉。知らない。ごめん。池上遼一の描いてきた漫画(もちろん原作者を含んでの話)が、現実化しつつあるというか現実が池上遼一の世界をなぞりつつあるという恐ろしい指摘。池上遼一は雑誌に載ってたのを断片的に読んでたけど、いまの文脈で言えば斬るビルみたいなもんでしょ?半分爆笑しながら読む、というような。

     *

 次は荷宮和子。この人も知らない。ごめん。団塊の世代とジュニアに挟まれた「くびれ」の世代(と本人は言っている)による上野千鶴子論。全編に怒りとヒステリックな感情が充満しているようで少し怖いが、これって私の書くある種の文章と似てるじゃん?ちょっと親近感。でもちょっと近親憎悪。言ってることは頷ける。たとえば文脈を無視して引用すると(ココログでこんなところを引用するのもちょっと気が引けるけど)、

 つまるところ、「女を殴る男は人間のクズである、『フツーの男≒女を殴る男』であると言うのなら、フツーの男は人間のクズである、ゆえに、フツーの男には人間として尊重される権利など無い」、これでいいと思うのだが。

 なんていうところでは、「うんうん、その通り」とか思っちゃうんだよね。でも、私のまわりには女を殴る男なんていないんだけど。それともみんな隠してるのか?世の中に女を殴る男ってそんなに多いのか?私の母親は、父親に暴力を振るわれたら即離婚、とか言ってたぞ。

 さて、論者は上野千鶴子の発言をたんねんに検証しながらフェミニズムに関することを論じていく。のだけど、なんか最初に指摘したような文体で書かれているので、ルサンチマンみたいなものを感じ取ってしまうのだよね、私は。どうしてこういう形式で上野千鶴子を論じたのだろうか?上野千鶴子がときどきこれと似たような崩した文体を使うから(あ、でも上野千鶴子って一、二冊しか読んだこと無いからこの辺のことについてはあまり責任もてません。間違ってたらごめんなさい)?脱構築?それとも、何か裏切られた、というような感情が付きまとうから?それとも韜晦?

 で、「戸籍制度を撤廃せよ」という結論には納得がいくのだけど、なんだか唐突な感じがしてしまう。私の読み方が悪いのかもしれない。確かに論理的整合性はあるんだけど、ここで上野千鶴子を論じることと微妙に乖離してしまうような気がするのだよね。

 あと、フェミニズムについて私はそれほどよく理解しているわけではないのだけど、先に引用した箇所においては男女の差というのは(ジェンダー?それともセックス?)自明という感じがするのだけど、「戸籍制度撤廃」の箇所に至って初めて性のグレーゾーンが登場するのだよね。

 論者の言いたいこととは別に、フェミニズムにおける性のグレーゾーンの取り扱いについて知りたい。誰かよい本を知ってたら教えてください。

     *

 ……必要最小限とか言ってた割にはずいぶん加筆してしまいました。まあ、物事とはそのように進行する、ということで勘弁してくださいませ。

[bk1へ]

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.06.10

紅茶の缶の大きさと香り

 チャイの話のついでに。

 昔、フォートナム&メイスン(FORTNUM & MASON)の紅茶に凝っていた時期に気づいたんですが(さっき検索してたらフォートナム&メイスンって並行輸入品の締め出ししてるの?いくら何でもそれってないんじゃないの?それに、あの素晴らしく香り高いFortmasonを日本に輸出しないってどういうこと?)リーフティーの場合、缶が大きいほどなぜか美味しいという法則(?)がありました。

 銘柄は問いませんが、試しに、おみやげ用の50g缶と巨大な250g缶で比べてみてください(種類がかけ離れていなければ、たとえばフレーバーティーとスリランカ系のお茶とか、でなければ、別のものでもOKだと思います)。

 250g入りの缶の方がずば抜けて美味しい!

 まず、缶を開けたときから香りが違います。紅茶ってこんなに素晴らしい香りがするものだったの?って思うくらい。それが、残念ながらあの小さな缶では消えちゃってるんですよね。なぜなんでしょうか。

 理由はいろいろ考えたけど、結局これだ、というものは見つかりませんでした。誰か分かったら教えてください。

 これからは夏だからちょっと控えたいところだけど、秋から春にかけてのシーズンにゆっくり楽しみたいものです。ただ、ひとり暮らしの身にとっては、あの量はちょっと負担なので、最近は少量買ってきて飲む、ということしかしてないんですが……

 紅茶がいちばん美味しいと感じられるのは、個人的には11月から12月の始め頃、そして、何といっても春先ですね。春先に丁寧に入れた紅茶を頂くのは、それこそ至福です。

 家族が何人もいらっしゃる方、あるいは毎日飲む時間の取れる方は、ぜひ250g入りの缶に挑戦してみてください。紅茶に対する見方が変わるかもしれないほど、香り高く美味しいです。

| | Comments (2) | TrackBack (0)

チャイその後(保存編)

 以前の記事(「チャイ」)を書いたあといろいろ調べたら、チャイと言われているものにもいろいろあるのですね。ミルクティーのものとか。

 私が友人から貰ったものはトルコのもので、トルコでは専用の器具を使って煮立て、中央のくびれたグラスで、角砂糖をいくつも入れてストレートで飲むそうです。日に何度も。日本で言えば番茶とかほうじ茶とかそんな感じなのかもしれません。

 以前紹介したのは普通に紅茶を入れる方法を応用した誰でも気軽に安価にできるという方法ですので、本当のチャイの味を味わいたい方は、ネットで調べるといろいろポットやグラスが買えるところが見つかりますので、そちらを参考にしてください。

 ところで、チャイをもらったのはいいのですが、どうやって保存するか、です。冷蔵庫で保存するとかいろいろ考えたのですが(その場合、結露が問題になります。その解決策もいろいろ考えたのですが……)、トルコの気候を調べたりして得た結論は、それほど神経質にならずに常温で保存する、というものです。イスタンブール周辺は夏でもそれほど高温にならないようですが、地域によっては日本の夏以上に暑くなるようです。ただし、乾燥しているそうですが。

 そういう現地の事情があるなら、日本でも常温で保存すればいいんじゃないかという結論にとりあえず達しました。もちろん、家の中の比較的涼しい場所で、直射日光の当たらない場所、ということになると思いますが。

 問題は湿度ですが、とりあえず密閉した瓶か缶に入れておけば大丈夫じゃないでしょうか。カップボードや食器棚に保存しておけば、それほど心配しなくてもいいような気がします。

 以前友人がギターを買ったときに、保存はどうすればいいかと店員さんに尋ねたことがあったのですが、要は、人が住むのに快適な場所においておけばよい、ということでした。

 もちろんギターとチャイは全く違うものですが、意外とそんなものではないか、という気がします。

 あとは、早めに飲んでしまうことでしょう。ひとりで消費しきれないと思ったらお裾分けしてしまうのがよいでしょう。私がそうしてもらったように(前に書いたか忘れましたが、友人は1kg入りのチャイを三袋もらってきたのでした)。そして私もお裾分けしてしまったのでした。

 えーとー、我が家のように二階建てアパートの二階で、真夏はとてつもなく暑くなり、しかも食器棚のおいてあるキッチンに西日が当たって暑くなる、という場合は(その代わり乾燥していますが)、密閉式の容器に入れて、いちばん涼しい部屋の一隅に置いておくのもありかと思います。ただし、茶葉は周囲の臭いを吸い取ってしまうという性質があるらしいので、密閉式容器もよく選んだほうがいいと思います(私が百円ショップで買ってきたプラスチックの容器はあまり密閉度が高くなさそうなので、口のところをビニールテープで巻いておこうかと思います)。とりあえず今飲んでる瓶や缶は食器棚などに、保存するものは瓶をさらに密閉容器に入れておく、という方法で何とかなりそうな気がします。

 もしかしたら、そこまで神経質にならなくてもいいのかもしれません。ご存じのように、普通の安売りのティーバッグなんてセロハンで封をしてあるだけ、なんていうものもありますし。ただ食器棚に入れておくだけでもいいのかもしれません。

 あ、あと洋服の防虫剤の臭いのするような部屋には置かない方がいいと思います。

 それと、瓶は百円ショップで売ってるのでもジャムの瓶でも密閉できれば何でもいいと思いますが、一度煮沸しておいた方が茶葉も長持ちすると思います(雑菌や黴の胞子が全部死ぬから。ジャムと同じ扱いですね)。もちろん水から煮立ててください(沸騰したお湯に入れると、たぶん割れます)。

 まだ私も試していないので、チャレンジされる方は他のサイトなども参考にして、慎重になさってください(「自己責任でお願いします」という言葉は使いにくくなりましたね……)。

----------------

 その後のお話。今年は関東地方は極端な空梅雨だったので、湿度の心配はありませんでした。ただ、この暑さがどう影響するのか……まだ何も対策をとっていないのですが、少しでも涼しい部屋に移動、というのはやってみようかと思っています。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.06.09

『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG #05, #06 』

 #05 INDUCTANCE
 #06 EXCAVATION

 #05は首相暗殺のメッセージが届き、首相を9課がガードする、という筋書き。その過程で新たな事実が少しずつ判明してくる。

 #03でトグサが合同演習中に死亡したAI搭載ヘリの操縦士の部屋を調べたときに目にしたマークというか記号が、第二次世界大戦前の五・一五事件(歴史的事実だから、知らない人は調べてみてください。当時の首相、犬養毅が軍人たちに暗殺された。「話せば分かる」「問答無用」のやりとりは有名)と関係することが判明(これにまつわるエピソードはフィクションか?そのうち調べてみよう)。

 マークというところが「笑い男」と似ている。

 #06は滅茶苦茶に破壊された東京(戦争によるらしいのだが。核が使われたらしいが、今の段階では不明)にトグサが潜入し、比較的最近に義体を交換された男が殺された事件の真相を追う。

 肝心なところはネタバレしないように書いているつもりだけど、この先どうしてもある程度物語が進行してしまう関係上、多少はそうなってしまう。全く何の先入観も持たずに見たい人は、攻殻機動隊に関する記事は読み飛ばしてください。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.06.07

ちょっと言い訳

 プロフィールに音楽が好きだと書いてあるのに、音楽についての記事(感想――私としては批評ではなく、あくまでも感想のつもりで書いている。読書感想文みたいな感じ)が未だに出てこないのはなぜか?

 CDラックにはいまだに開封さえされていないCDが何枚もある。時間がないわけでもない。再生装置が壊れているわけでもない。

 ただ、どうやらわたしの方が壊れているらしい。プロフィールにも書いたが現在神経症治療中で、脳の中がいろいろ変なことになっているらしい。経過としては順調だと医者は言うし、自分でもそう思うのだが、何か特定のことをどうしてもできなかったりする気になれなかったりする、という、症状だか薬の副作用なんだかわからない状況が私の身に起こっているらしい。

 そのひとつが、どうしても音楽を単体で聞くことができない、というものである。映画は見ることができるのに。去年の秋には全く読書ができなくなったことがあるが、それと同じようなものかもしれない。

 その代わり、脳の中にはたくさんの音楽が「録音」されているので、音楽に飢えるということはない。ただ、新しい音楽を聴くことができないだけのこと。

 確か三月頃まではCDを聴いていた記憶があるので、この症状もいずれ改善されるだろう。そうしたら、音楽のことも書きます。

 以前書いたものを出してきてもいいのかもしれないけど、ここではできるだけ「今の自分」をの感覚を大切にしていきたいので、そういうことはしないことに決めている。

 もっともすべてリアルタイムに書いたものではないが、ここに載せた文章はすべて今年になってから書いたものである。それが自分に課した枷である。そのかわり、すでに書いてあったもののほとんどは加筆・修正したり書き直したりしてあるし、それ以外はもちろんすべて新しく書いたものである。そして、すべて初出である。ハードディスクの中に眠っていた文章ばかり、ということだ。

 本の感想の順番などは、必ずしも読んだ順に並んでいないが、それにはちょっとした配慮とか、個人的な事情(感想を書くのに時間が掛かる本と、そうでない本があるといったような)が関わっている。映画の感想も同様だが、なにしろ見ている本数が少なすぎるので、そこまで考えていない。

 また、読んだ本のすべてについて感想を書いているわけでもない(ほかのジャンルについても同じ)。うまく書けなかったり、どうしてもいいと思えなかったものについては除外してある。その理由は、好きなものばかり並べたいから。そして、否定的な感想を書くのは好きではないから。だから、サイドバーのところに「本」という項目があるけど、あそこでも絶対に「評価」は載せない。

 でもたぶんすべての感想はサブタイトルの通りになってしまっているに違いない。それでも感想を書いてしまうのはなぜかな?

| | Comments (1) | TrackBack (0)

2004.06.06

『新たな生のほうへ 1978-1980 ロラン・バルト著作集10』石川美子訳、みすず書房

 ブログのサブタイトルを変えたので、最初にそれについて触れておく。

 サブタイトル「人はつねに愛するものを語りそこなう」は、バルトの遺稿のタイトルである。原稿はほぼ完成していて、タイプライターで浄書された一枚が机上に残されていたそうである。

 その一枚の浄書を書き終えた直後にバルトは交通事故に遭い、約一ヶ月後にこの世を去った。

 私がこの一文を知ったのは出版ダイジェストから毎月送られてきていたフリーペーパー(ご存じの方も多いだろう)によるのであるが、それを紛失してしまったので正確なことが分からなくなってしまった。が、白水社のサイトにそれを見つけたので、そちら(「ロラン・バルトの旅」石川美子、出版ダイジェスト「白水社の本棚1999年4・5月号」。ただしPDF形式なので注意)を参照していただきたい。著作権(翻訳権?)の問題もあるので明らかにしておきたい。

 実は、このタイトルを付けられた文章がバルトのどの本に収められているのか調べてもよく分からないので、もしご存じの方は教えて頂きたい。

 さて、本書というかこの著作集は、これまで単行本として出版されなかったバルトの評論、インタビューなどを集めたもので(一部例外あり)、2002年にスイユ社から出版されたものを底本としている。

 邦訳するに当たって重複する箇所などいろいろ複雑な事情があったようで、作業はかなり困難なものとなったようである(それについては本書巻頭を参照)

 いままでにバルトの単行本はほとんどが邦訳されているので、この全集が全巻揃えば、現存するバルトのテクストが事実上すべて揃うことになる(そのほかに本国では晩年の「講義録」も出版されたと聞くので、こちらも邦訳をぜひお願いしたい)。喜ばしいことである。というか、素直に嬉しくてたまらない。

 で、本書第10巻は、バルトの最晩年三年間のテクスト化されたものを集めたものである。そこには単行本と違った、バルトの「肉声」を聞き取れるような錯覚を起こさせるものも少なくない(あるいは錯覚ではないのかもしれない)。

 内容に関しては、専門家でも何でもないそれこそただの「読者」に過ぎない私に何も言えることはないが、読んでいる間、それこそ時間を忘れて至福の時を過ごすことができた、ということを言い添えておいてもいいかもしれない。それはバルトのテクスト(誤解を恐れずに言えば「文体」)が人を魅了して止まないある種の「秘密」と密接に関係しているように、私には思われる。

 本全集の唯一の「欠点」は、価格が高いことである……貧乏な私は、それこそ食費や医療費を節約して買わなければならないかもしれない、ということである。でも、そのくらいバルトが好きなのだから、仕方がない。たとえ、書いてあることの一、二割しか理解できていないとしても。

[bk1へ]

| | Comments (0) | TrackBack (1)

2004.06.05

『魁!!クロマティ高校 8 回転編』野中英次、講談社

 今回は何といっても竹之内くんの活躍だろう。なんと自ら乗り物酔いを克服しようと挑戦するのだ……!

 あとはいつものパターンで絶好調だ。7巻はちょっとパワーダウンしていた気がしていたので、ちょっと安心。
 
 ちなみに今頃8巻のことを書いているのは、数日前まですでに9巻まで出ていることを知らなかったから。迂闊、というよりもいちばん病に苦しんでいた頃のことだから、致し方あるまい。

[bk1へ]

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.06.02

『フェチ楽園考 超官能の世界』いその・えいたろう、ちくま文庫

 私はアマチュアの小説(というか小説らしき何ものか)書きでもあるのだが(興味を持たれた方はプロフィールのURLから飛んでみてください。そんな人いないと思うけど)、いま、とある小説を構想中で、その小説を書き始めて困っていた(フェチが関わってくるのだが不案内なので)ときに、書店でこの本を偶然見つけた。というよりも、この本がおいでおいでをしていた。

 文庫書き下ろしで、可能な限り最新の情報も合わせて詰め込んだ本書は、フェチ(呪物崇拝のフェティシズムじゃなくて、いわゆるフェチ。性的倒錯のほう)のあらゆる様相をかいま見せてくれる。

 フェチビデオばっかり扱っているある店のワンフロア、使用済みの女性の下着をタンス一杯にしまい込んでいる老画家(新品と交換してもらうんだそうだ)、不気味なまでの女装、髪フェチ、靴フェチ、獣姦、身体改造(これで『蛇とピアス』は読まなくてもいいやと思った)、おならフェチ、剃毛(あそこの毛を剃るのだ……(泣))、W&M(正装した女性が水に濡れたり泥に濡れたりするのがいいらしい。海外にはたくさんファンがいるとか……(溜息))。

 インタビューも結構あるのだが、どの人も自分が変態ではなく「フェチ」であるという誇りと自負を持っている。基本的に明るい。自らの欲望に忠実で、経済的には苦しくとも本当に好きなことをやっているのだから幸せそうだ。そしてどの人も、暴力的ではない(SMは項目としては取り上げられていないが、あれも暴力とは違うだろう)。

 言ってみれば、「ちょっと変わった趣味にのめり込んでしまっている人たち」なのだ。こんな人たちばかりなら、世の中も平和になるし、子供も「大人は嘘ばっかり付く」なんて生意気なことを言えなくなってすべて丸く収まる……かどうかは知らない。

 ひとつだけ生意気なことを言わせていただければ、「ゴスロリ」は微妙に外していると思う(というか、わたしの方が詳しいと思う)。でも、著者の経歴と年齢を考えれば、むしろここまで正鵠を得た批評をしていることを賞賛したい。

 私のように不案内な読者をフェチの現場に連れて行ってくれる本書は、入門書(……何の?)としても最適だと思う。何といっても、その生々しさが本書の最大の魅力であると思うし、類書にはあまりないものではないかと思われる(そりゃ、フェチ専門書はまさに生そのものだろうけど、敷居が高すぎる……(泣))

 あとひとつだけ、正直に告白すると、読んでいて何度も泣きたくなった。偉そうな言葉を使えば、「人の業はここまで深いものなのか」。もっと正直に言うと、「もう勘弁して(;_;)」

[bk1へ]

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« May 2004 | Main | July 2004 »