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2004.06.15

キューティーハニー

 冒頭最初に思いついた言葉は「お色気」。なんて懐かしい言葉!死語でしょうね。ハニーがバスタブに浸かってるだけで漂ってくる「お色気」。ぜんぜんエロティックじゃない。キュート、って言い換えてもいいかもね。これって今時すごいことだと思わない?

 全編に渡ってお色気キュートはもちろん、カラフル、微妙にレトロ。みんな携帯使ってるのに。ちなみにハニーの携帯はAUだった。冒頭大写しにされてました。他の人もAUなんだろうな。

 で、おバカだったりベタなギャグだったりするけど、笑える。派手にぶっ壊す部分には全く「タメ」がい。ひたすらスピーディー。だから笑えるし「泣き」が入らないんだよね。そう、70年代テイストなんだけど、まさに21世紀初頭に相応しいテクニックに裏付けられている。「タメ」も「泣き」も歴史的には素晴らしい技だったけど、やっぱり今それをやっちゃうと映画自体が色褪せちゃう。

 物語はハニーの父親を殺した悪の組織パンサークローと戦うというもの。ハニーは普段は間抜け(というか仕事しろよ!)で孤独なOLだけど、ことが起これば愛の戦士キューティーハニーに変身。

 如月ハニーは事故で死んだのを父親によって蘇させられたアンドロイド。だから過去の記憶はない。ハニーの、孤独とともにもう一つの影の部分。

 首のチョーカーに触れて「ハニーフラッシュ!」と叫ぶと変身できるのだが、エネルギーが足りないと変身できない。そのエネルギー源というものが……ネタバレするから書かないけど、個人的にはツボ。

 戦いは冒頭からあっという間に始まってしまうので息つく暇もないというか素晴らしいテンポ感。

 で、戦いは結構ギャグ。おバカ。そして何度も言うようにスピーディーだからだれないし。飽きない。飽きてる暇がない。

 最初の戦いで女警部秋夏子(すごい名前!)と知り合い、なっちゃん(謎の新聞記者早見青児に「なっちゃん」と呼ばれてからそれが定着してしまう)がハニーを執拗に追ううちに、プライドが高くて(ハニーと同じように孤独で)人を寄せ付けない性格なのに、ある事件をきっかけに、少しずつハニーに心を開いていく。個人的にはこの過程にいちばんぐっと来てしまいました。ちょっと泣けた。あ、以前に書いた「泣き」とは違うからね。

 そして戦いを重ねながら、ラストへと向かうわけだが、あのラストも個人的には泣けた。あ、ラストって、最後の戦いのところね。

 もちろん最後は大団円。ハッピーエンド。あっという間に終わっちゃったっていう寂しさがちょっとだけ残るところがいいね。

 ひとつだけ不満。私が見に行ったのは平日の昼間だったんだけど、映画館がらがら。もっとみんな見に行ってよ!


(本文は公式サイトを参考に書きました。)

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Comments

まいまいさん、こんにちは。
はじめまして。

キューティーハニー、よかったですよね。
おもしろかったっす。
個人的には、カラオケがツボでした。
私は平日の渋谷で、最終の回を見たんですが、そんなにたくさんは入っていませんでした。
数十人かな?
でも、同じ映画館で同じ平日の最終に「フォーチュン・クッキー」を見た時は、
観客が一桁だったので、それに比べたらかなり入ってると思いましたw

Posted by: 沖野 | 2004.06.17 02:01 AM

沖野さん、コメントありがとうございます。

カラオケの場面は私も好きです。秋夏子が崩れていくところが特に……
平日の渋谷の最終回でもそんなものでしたか。もっと純粋に楽しめる映画としてたくさんの人に見て欲しいなと思うんですよね。
「フォーチュン・クッキー」は見てませんが、観客が一桁とは……昔私もいくつかそういう映画にあたったことがあるんですが、そういう映画に限って個人的にはすごく好きな映画だったりするんです……

Posted by: まいまい | 2004.06.17 01:43 PM

まいまいさん

こんにちは。
「フォーチュン・クッキー」は、全然期待してませんでした。
なんで見に行ったかというと、ココログのアドレスに
「fortune-cookie」を入れている手前、見に行かないわけにはいかないだろうと思ったんです。
でも、拾い物でした。おもしろかったです。
見に行ってよかったっす。
なので、観客が少なかったのが残念だったです。

Posted by: 沖野 | 2004.06.18 01:27 AM

沖野さん、こんばんは。

「フォーチュン・クッキー」調べてみたらキュートな映画みたいで、ちょっと見逃したのが残念、という感じです。

世の中には知らないうちに見逃してしまう楽しいものがたくさんあるのかと思うと、ちょっと悲しいです。

Posted by: まいまい | 2004.06.19 01:28 AM

トラックバックありがとう。
ぼくもラストシーンは泣けましたよ。
すごい単純なストーリーなんですが、
父親の手のプレイバックシーンとか
盛り上げ方がずるいですよね。

Posted by: Taro | 2004.06.21 06:21 PM

Taroさん、こめんとありがとうございます。

ほんと、単純でストーリーを追う煩わしさがない分、
映画に集中できた感じがします。

父親の手の場面は、セピア色だったりして、
テクニックとしては普通なんでしょうけど、
でも、その分直接気持ちに働きかけてくる、
そんな感じでした。ほんと、(いい意味で)ずるいし、
何もかも分かってやってるところがすごいなと
思いました。

だから、がらがらだったのが悔しかったです。

Posted by: まいまい | 2004.06.21 11:00 PM

トラバありがとございます。
うんうん、キューティーハニー楽しかったですよね!お約束がいっぱいで、レトロっぽかったりアニメっぽかったり、それにうまく現代劇絡めた感じで。
なんかあんまり話題にのぼらなくて寂しいです。
私も平日の渋谷最終で観たんですが、あの映画館、場所も悪くないですか?もともとあった場所が建て直しだから仕方ないのかもしれないけど~~;
シモツマのスペイン坂ばーーん!の看板とは、差が大きいよ~。

Posted by: ゆき | 2004.06.23 12:48 AM

ゆきさん、コメントありがとうございます。

あの、お約束ってやつが誤解を招いちゃったりしてるんでしょうか。
私はああいうところが大好きなんですが。

私は新宿のトロイの木馬の近くの映画館で見ました。渋谷は場所が良く分からなくてたどり着く自信がなくて。

平日の最終もだめでしたか・・・

ほんと、あんまり話題にならなくて残念です。でも、検索には割と引っ掛かってくるんですよね。

この金曜日でほとんどの映画館では終わりみたいですね。最後に少し人が入るといいんですが。

Posted by: まいまい | 2004.06.23 09:06 PM

トラックバックありがとうございました。

私が見に行った映画館でも、キューティーハニーのお客さんは少なめでした。
それでも、両手に両足足しても数え切れないほどには居ましたよ!(・・・)
途中、飽きてしまったのかぐずる子供がいたりして・・・。
「お約束」がわからないとつまらないのかなぁ、なんて話してました。
それとも世間の人は「お色気」「漫画映画」というだけで引いちゃってるのかしら。
どちらにしても寂しいことです。

Posted by: まさやん | 2004.06.27 07:21 AM

まさやんさま、コメントありがとうございます。

……私のときよりは多かったみたいですが、やっぱりお客さん少なかったんですね。悲しいです。

「お約束」をあんなに分かりやすく描いていたのですけどね……だめな人にはだめなんでしょうか。

 大人しか見れないエロティックな映画は受けるのに、子供も見られる「お色気」映画が受けない、というのはどういうことなんでしょうね……庵野監督、気を落とさないでまた元気な映画を作って欲しいです。

Posted by: まいまい | 2004.06.27 04:19 PM

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