« 『人に言えない習慣、罪深い愉しみ』高橋源一郎、朝日文庫 | Main | トラックバックの功罪(というほどのものでもないか) »

2004.06.18

『のだめカンタービレ #1』二ノ宮知子、講談社

 世の中ではすっかり有名な漫画らしくて、現在は9巻まで出ていて、しかも何か賞を取ったという噂すら聞いているのだけど、私のブログを訪れるような人ならひょっとしたら存在すら知らないかもしれないと思って記事を書こうと思ったのであった。

 というと偉そうだけど、久しぶりにものすごくツボにはまった漫画で、書かずにいられなかったんだけど、何をどんなふうに書いたらいいのか迷って、今日に至る、というところだろうか。

 とにかく勢いだけで行くからね。

 3巻まで買ってあるけど、もったいなくて、まだ1巻しか読んでいない。最低三度読んでから次の巻を読もうと思っているのだけど、いろいろあってまだ二度しか読んでいない。この記事をアップしたら三度目を読もうと思う。

 ひとことでいえば音大コメディ。音楽的天才千秋真一と、「のだめ」こと野田恵を中心としてストーリーが展開していくのだろうと思う(一巻しか読んでないからそれしか言えない)。クラッシック音楽のことなんて何にも知らなくても楽しめる(それなりの知識があればもっと楽しめるだろう)。

 結構矛盾するような言葉の表現が出てきたりするんだけど、それは作者がわざとそういう言葉をぶつけているのであって、何らかの領域で「創造」に携わった人になら、納得の行くものだと思う(そんな「言葉の矛盾」なんて気にするのは私くらいかもしれないけど。もちろんそのテクニックというかそれによって表現されているものがものすごく的確だと思うからわざわざこんなこと書くんだけど)。

 とにかく、有名になるだけのことはある漫画だと思うので、ぜひ一度読んでみてください。以下、千秋とのだめのキャラと出合についてどうしても触れておきたかったので、興味のある人は読んでみてください。ただしネタバレしてるので注意。先入観無しで読もうと思う人は読まない方がいいかもしれません。

[bk1へ]

 千秋”オレ様”真一はさる音大のピアノ課に籍を置く音楽の天才(子供の頃、世界的に有名な指揮者がリハーサルで悩んでいるとき、そこに潜り込んでいて問題を解決してしまったのだから、天才というのも誇張ではないだろう)。ピアニストを父に持ち、子供の頃から本場ヨーロッパでクラシック音楽を聴きまくったのだから、当然抜群の「耳」の持主でもある。

 でもあまりに天才なために周囲の音大生の出している音に我満がならなくていつも怒っている。そしてピアノ課に入ったのも、ピアノがいちばん苦手だったから、という、凡才から見ればほとんど嫌みとしか言えない理由であったりする。

 千秋がなりたいもの、それは指揮者だった。その、世界的に有名な指揮者の悩みを解決したときからすっかり可愛がられるようになって、彼自身、指揮者としての唯一の自分の師、と心に決める。

 そんな千秋がある日ピアノ課でいちばんといわれる指導教官と喧嘩をして(千秋自身学年でいちばんピアノが上手い)、指導教官から選抜学生コンクールに出させないと言われてしまう。

 傷心の千秋が廊下を歩いていると、デタラメにしか聞こえないベートーベンのピアノソナタ「悲愴」が聞こえて来た。

 だが、抜群の耳を持つ千秋は、それがデタラメだけどものすごく上手いことを発見する。

 そこへ、昔の恋人彩子が現れる。

 二人は一緒に飲みながら、その会話の中で、千秋が指揮者になりたくても唯一の師と仰ぐ指揮者のいるヨーロッパに、たとえ留学したくてもできない理由が明らかにされる(笑)

 千秋は、二つの、彼にとっては決定的な理由によって(トラウマというやつだな)、日本からは一歩も出られない身なのであった(笑)

 傷心の千秋は彩子を誘うが、「負け犬なんかキライ!」とけんもほろろに断られてしまう。

 そのあと飲み過ぎたのか、千秋の記憶はそこで途切れる。

   *

 コンビニから帰ってきたらしいひとりの若い女が、マンションの自分の部屋のドアのすぐ横に座り込んで眠っている千秋を発見する。彼女は音大で千秋のことを見かけていたので、名前は覚えていなかったけれど、見覚えはあった。

   *

 千秋はピアノの音で目を覚ました。前日に聞いた、ベートーベンの「悲愴」。目を開けると、ゴミ溜めの中で女がピアノを弾いていた。それが、千秋と野田恵との出会いだった。

   *

「のだめ」こと野田恵。ピアノ課に在籍する千秋の後輩。ゴミ溜めの中に住む女。ゴミ溜めといってもあなたの部屋を想像してはいけない(失礼)。本物のゴミ溜めだ。風呂は二日に一度、シャンプーは五日に一度。本人はきれい好きだと思っているらしい。読譜はろくにできないが、驚異的な耳を持つ。CDを一度聞いただけで弾けるようになってしまう。デタラメだけど、天才的ピアニスト。そして友人のお昼を勝手に食べてしまうようなやつ。美人というほどでもないが、そこそこ可愛い。けど化粧もろくにできない。その上性格も変。殺人的な料理はできるが、まともなのは無理。

   *

 このあといろいろなキャラが登場してくるのだが(一巻ではロックなバイオリニストのあんちゃんが登場してくる)、今後の展開が楽しみ。

 こんな漫画に出会えると、生きててよかったなって思えちゃうんだよね。特に今日みたいに精神安定剤無しじゃやっていけないような日は。


 曲目リスト

・ベートーヴェン ピアノ協奏曲(のうちのどれかは不明)
・ベートーヴェン ピアノソナタ第8番ハ短調<悲愴> 作品13
・(のだめ 即興曲)
・モーツァルト 二台のピアノのためのソナタ ニ長調 K448
・ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ第五番ヘ長調<春>作品24

 クラシックにはそれほど詳しくないので間違ってたらごめんなさい。

|

« 『人に言えない習慣、罪深い愉しみ』高橋源一郎、朝日文庫 | Main | トラックバックの功罪(というほどのものでもないか) »

Comments

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 『のだめカンタービレ #1』二ノ宮知子、講談社:

« 『人に言えない習慣、罪深い愉しみ』高橋源一郎、朝日文庫 | Main | トラックバックの功罪(というほどのものでもないか) »