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2004.11.05

大友良英プレゼンツ ニューミュージック・コンファレンス『Korean Meeting』

 11月2日、3日と連続して行われた、韓国はソウルの即興・ノイズ系ミュージシャン・アストロノイズを招聘して行われたライヴ。場所はキッド・アイラック・ホール。

 2日はちょっと疲れてたのと、聞きたい日本系ミュージシャンが3日に来ることになっていたのと、誘った友人が来られそうもなかったので、3日のライヴに出掛けた。

 しかし、キッド・アイラック・ホール、場所がわかりにくすぎ。友人によれば、場所が変わったかもしれないともいっていた。

 中に入るとものすごく狭い。学校の教室ひとつ分くらい? その5分の2くらいを機材が占めていて、その反対側の壁のほうに簡単な折り畳み椅子が十数個並べてあった。私が到着したときにはまだ椅子が埋まっていなかったので、無事座ることが出来たが、椅子が埋まったあとに来た人は、床に座布団を敷いてそこに座る羽目に。

 ライヴは全部で3セット、全部で三時間半の長丁場だった。でもお尻が痛くなった以外、SSRI+脳内麻薬出まくりで、疲れることは全くなかった。もちろん退屈なんてあり得ない!

[第一セット]

(1)宇波拓ソロ:マックのパワーブックよるノイズと、名前は知らないけどダブルネックのギターとベースが一緒になったようなフォークギター形状の楽器によるソロ。ノイズはわずかな周期を伴いながら(あるいはそう聞こえただけかもしれない)音の壁を作る。ノイズはいろいろな色彩に変化する。そこへ時折謎のギター? が数音奏でる、という感じ。最初からすっかり引き込まれる。

(2)秋山徹次(ギター)、植村昌弘(ドラムス)デュオ:ギターはディストーション&フィードバックと、リフというか何というか。そしてドラムスと微妙な駆け引きが。ものすごくスリリング。

(3)大友良英(turntable without records)ソロ:初めて大友さんの演奏を生で聴く。しかもターンテーブル。テ○ニ○スの人や○ル○フ○ンの人が見たら卒倒するんじゃないか、というような演奏。でもめちゃくちゃ格好いい! コンタクトマイクみたいのとか、あとよく分からない小さい機材をターンテーブルに近づけたりくっつけたり軸のところに接触させたり。多彩な美しいノイズ。職人芸といか名工というか、そんな感じ。すごい。


 第一セット終了時に友人と合流。ホールの外へ出て友人のチケットの手配をしたり、販売しているCDを眺めたり(金がなくて買えなかった)、数少ないトイレに行列したり。


[第2セット]

(1)杉本拓(ギター)、Sachiko M(サインウェイヴ)デュオ:実はSachiko Mさんの演奏を聴きたくて3日にしたのでした。Sachiko Mさんは(今もそうなのか知らないけど)サンプラーの基準音となるサイン波(よく解らない人は高校の教科書でも見てください)だけを使う演奏者。サンプラーの機能は使わない。でも、その日使っていた機材がサンプラーだったのかどうかはよく見えなかったので分からない。

 コンタクトマイク(実はこれがどんなものなのかよく分かっていないのだが、テーブルの上をこすったりして音を拾っているようだ)も使ったりする。サイン波は倍音を含まないので音は通らない(というか聴き取りにくい)が、それが消えたときふと気付くような性質を持っている。いくつかの周波数のサイン波をミキサーで変化させながら演奏していく。杉本さんの方は最初本のページをめくっているだけで、その音がある種のアンサンブルを構成するのだが、会場はしんとしていて、会場の外を通り過ぎる車やバイクの音も自然とアンサンブルと重なってくる。意図的でなくても。

 微音系の場合、私だけかもしれないが、目から入ってくる情報がものすごく邪魔になる。だから途中からずっと目を閉じて聞いていた。だから、杉本さんがいつギターを手にしたのかは知らない。

 たぶん初めてこの音楽を聴く人はかなりとまどうだろう。でも、感覚を開放してやると、不思議なサウンドスケープが見えてくる。それまではCDでしか聴いたことのなかったその体験は、ちょっとうまく言葉で表すことができない。

(2)アストロノイズ(Choi Joon-Yong & Hong Chulki)、佐藤行衛:ソウルからやってきたアストロノイズと佐藤行衛(テーブルの上に寝かせてあるエレクトリックギター、テルミン?)の演奏。圧巻。アストロノイズはCDプレーヤーを分解・改造したらしい装置とやはり改造してあるらしいポータブルCDプレーヤーを使うChoi Joon-Yongさんと、ラップトップパソコンでノイズを作り出していくHong Chulkiさん。そしてハチャメチャともいえるパフォーマンスを見せる佐藤さん。もうなんていうか聴いていて嬉しくてどうしようもなくなる。とにかく格好いい! 最高! Choi Joon-Yongさんの使う装置はCDの回転数もコントロールできるみたいで、ビニール(レコード)でなくCDでここまでできるか!? というほどの荒技を見せてくれる。CD2枚重ねて飛ばしたりもしてた。あと、ポータブルの方は改造CDプレーヤーと接触させたり接近させたりして回転数を変化させたりいろいろ。書き尽くせない。Hong Chulkiさんはパフォーマンス的なところではラップトップを使っているせいであまり動きはないが、何ともいえない荒々しいノイズを作ったりとか、すごいのがミキサーの後ろのコードの接触を悪くしたりしてハム音を出したりしているところ。とにかく、普通のライヴではタブーとなることが延々と行われる。佐藤さんはギターと指板の間に長いスプーン? みたいなものを突っ込んで、ものすごい音を出している。弦の上にぬいぐるみとかその他いろいろなものを滑らせて電気楽器に過ぎないギターに次々とエラーを起こさせる。すごいセッションを見た。だが、これで終わりではなかったのだ。

 外へ出て外気を吸う。ここしばらく寒かったりしたが、ちょっと涼しくて快適。


[第3セット]

(1)Choi Joon-Yongソロ:CDプレーヤー使いのChoi Joon-Yongさんのソロは、さっきにもまして過激。CDの縁にテープを貼り付け、机上のCDとポータブルのCDを接触させて、テープ同士がぶつかる音をノイズとして出すわけだが、同時に回転数も変化する。そして何よりもすごいと思ったのが、ポータブルプレーヤーにCDを裏返しに装着し、なんと指先に持ったレーザーピックアップで音を拾うという荒技! 断片的にCDの本来? の音が聞こえてくる。その他覚えていないけど、ありとあらゆる方法で不思議で多様なノイズを出していた。

(2)Choi Joon-Yongソロ:こちらはラップトップで粛々とノイズを作り出していくのだけど、なんていうか、パワフル。ソウルフル(オヤジギャグじゃないよ!偶然!)。Choi Joon-Yongさんのようにうまく書けないけど、この二人のユニットのパワフルさ、荒々しさは本当にすごいと思った。金無かったのが残念。そのうち日本でもCD売ってください。

(3)アストロノイズ+大友良英+Sachiko M:いよいよセッション。大友さん、最初からキレ気味。ターンテーブル取り外したりしてそこにマイクとかいろいろ突っ込んだり、また元に戻して回転数を手で調整したりしながらカートリッジでも音を拾っていく。Sachiko Mさんはいつでもクールに見えるが、さっきのセッションよりアグレッシヴにサイン波をコントロールしていく。そしてアストロノイズはやりたい放題。全員が全く勝手なことをしている。それをアンサンブルとして聴くことが出来る人だけが、この演奏を楽しめるのだろう。

(4)全員セッション:もう、何も書くことはない。最後を飾るに相応しい、コンビネーションとかいわゆるアンサンブルをすべて拒否したようなカオス……でもない。そこにはやはり別の種類の「アンサンブル」が確かに存在する。数学にいくつも公理系があるように、音楽にもきっと無数の「アンサンブル」が存在するのだ。


 すっかり熱く語ってしまったが、勘弁してくれ。ものすごくインスパイアされた。何かしなきゃ、と思った。今すぐは難しいけど、遠くない将来、必ず何かするぞ、と思った。あ、音楽の分野でね。ヘタでもクソでも、読み書きと音楽はどうしてもやめられない。

 あと、この分野(といういい方は間違っていると思うけど暫定的に)の音楽を生で聴くのは二度目なので、「それは違う」という意見があったら、ぜひコメントしてください。

 またライヴ行きます。大友良英さんたちの音楽情報を知りたい方は、サイドバーにも載せとくけど「Improvised Music from Japan」まで。

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Comments

佐藤行衛さん、うちのとーちゃんのバンドを韓国に呼んでくれた張本人ですよぅ。ビックリ。

Posted by: をるが | 2004.11.07 10:06 PM

あらまあ、こちらもびっくり!
寝かせたエレキギターの上でケータイを演奏してたり、なんかすごかったですよ。格好良かったです。日本と韓国のミュージシャンの橋渡しをしている方なのでしょうかね?

"THE OYSTER AND THE FLYING FISH"もぜひ聞いてみたいです。やっぱり最初はライヴで。

Posted by: まいまい | 2004.11.08 10:46 PM

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