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2004.11.02

攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG #15, #16 (8)

 #15 PAT.
 #16 ANOTHER CHANCE

 今回は微妙にストーリーのメインストリームに触れながら話が進行していく。#15では現在のタチコマたちのあり方の「秘密」が明らかになる。#16ではクゼのPKF活動での過去が明らかになる。

 以下ネタバレ。


 #15 PAT.

 タチコマたちのメンテナンスの場面から話は始まるのだが、タチコマたちの会話に付いていくのが並大抵ではない。ということで、かいつまんで。

 メンテ中のタチコマたちは相変わらずうるさいのだが、いまでは単なる戦車ではなくネットに潜り込めるようになっているので、静かにしろ、とメンテの技術者たちに言われるとそこで議論を始める。

 あまりに錯綜しているので実際に見てもらうしかないんだけど、ポイントとしては人間の集団心理に関する考察として、無意識のマクロレベルの方向付けみたいなものと、遺伝子といったミクロレベルでの無意識の方向付けみたいなものが「笑い男事件」や「個別の十一人」事件のバックグラウンドとして存在するのではないか、ということ。

 特に前者に関しては、タチコマたちも自分たちの「精神」と「肉体」の遊離のようなものを感じているという。超越的自我? しかしその理由は後に明らかになる。

 その頃、#03で飛行中に死亡したヘリのパイロットの死因について研究機関を訪れていたときに、研究所で爆発事故が起こった。数日前から爆破予告が出ていたので、建物の中には誰もいないはずだったが、有須田博士だけは中にいたという。バトーとトグサ、タチコマが中にはいると、爆発の規模はたいしたことなく、草薙は有須田の仕業と断定する。

 有須田は日本を出て米帝(2030年のアメリカのことらしい)で好きな研究をしたいがために逃亡を企てたのだった。

 荒巻は首相を動かして北米行きの飛行機をすべてストップさせ、バトーとトグサが空港で有須田の身柄を確保する。有須田は好きな場所で好きな研究をする権利があるというが、トグサは、国家の予算で国家との契約の元で研究をしてきたのだから、その権利がないということは分かっているはずだという。

 一方、メンテ中のタチコマたちは有須田をどこかで見たことがあるけど思い出せない、メモリのどこかに区画がされているのではないかと、あるタチコマが別のタチコマのアタマ(?)を開けると……なんと「脳無し」だった! AIチップはタチコマ自身には搭載されていなかったのだ。

 9課の飛行機で連行される途中、有須田はタチコマと話をする。有須田はタチコマのAIの開発者であり、現在のタチコマに改造するためにも手を貸している。タチコマたちのAIチップは衛星上にあって、それは草薙のアイディアでもあった。並列化しつつ個性化を許すためのひとつの方策。

 タチコマたちの「超越的自我」のようなものとは、即物的なものだったのだ。

 草薙は有須田にタチコマから彼のデータを消去する方法を聞き出す。どんなことが起こるか分からないからだ。

 タチコマは有須田のことをお父さんですか? という。あなたのことを忘れたくないと言う。でも有須田は、いや、いいんだ、私のしてきたことはネットのどこかに残っているとタチコマに言うのだった。


 #16 ANOTHER CHANCE

 どうやらこれまでの話からすると、2030年までに四度の大戦があって、その間各地で紛争やら戦争やらが絶え間なく続いてきていたらしい。関係ないけど、ブッシュが再選するとほんとうにそうなりそうで、妙にリアリティがある。セカンドシーズン全体にいえることだが、いま私たちのまわりに起こっていることと(物語の中では過去だが)、私たちにとっての過去が、全くそのままというわけではないが、対応しながら進行している。見始めた頃に感じたよりも、ずっと深い脚本になっていることが分かってきた。だから前言撤回。

 国内では難民が一斉蜂起する、という噂が流れていて、難民も流入してきているらしいという情報もあるようだった。閣議の席で、それぞれの閣僚が自らの利権を守ることと、責任を放棄しようとする有様に首相はいったん休憩することにした。

 執務室には荒巻と草薙が控えていて、難民に関する情報を草薙が首相に有線で説明する(電脳どうしを有線で接続させれば盗聴される可能性はない)。

 どうでもいいことかもしれないけど、首相が草薙のプラグをハンカチで拭ってから帰すところは非常に芸の細かい性格描写だと感じた。

 草薙の説明によれば、ネットハブ(だっけ?違ってたらごめん「ハブ」は確実)というものができつつあり、それらは小さな共同体を作っていて、カルトや新興宗教の場を形成しているのだが、難民地区に巨大なハブが出来つつあることを説明する。とてもひとりではそれを支えることは出来そうにないが、指導者のような存在が暗示されるという。

 その頃石川は「半島」から9課へ戻ってきて、そこで収集したクゼの情報を有線(ヘッドマウントディスプレイみたいなやつ)で皆に報告する。

 クゼたちの部隊は義体化率50%以上の精鋭揃いで、真冬の「半島」でもたいして苦にならなかっただろうと石川は言う。彼らはPKFとしてそこへ派遣されていて、雪の中を進んでいった。クゼたちの部隊はそこで、偶然難民キャンプを発見し、人民軍(なんとなく剣呑な響きだ)の部隊がそこで難民たちを虐殺しているのを発見する。義憤に駆られたクゼたちは、難民キャンプに入って人民軍の部隊を全滅させる。しかし、実際の戦闘はその一回だけだった。そして、その戦闘は報道管制が敷かれ、マスコミに流れることはなかった。

 その後、戦闘に加わった隊員たちの多くがPTSDに掛かってしまう。自分たちのしたことがほとんど虐殺と変わらなかったことに精神をどんどん病んでいき、義体化されていない部分で、酒に溺れたり、ハシシュに溺れたりしていった。

 ここで気になる、というかポイントとなるのは、クゼがPTSDに苦しめられてはいなかったということだ。

 そんなとき、報道カメラマンがクゼたちの部隊を訪れ、柵の外から廃人になりかけた隊員の写真を撮りながら、アサシン――暗殺者とは、もともとハシシュを吸うもの、いつまでお客気分でいるのか、人殺しめ、とののしった。報道管制のせいで、廃人化した彼らのしたことは誤解され、難民キャンプで虐殺したのは彼らではないのかとさえ疑われていたのだ。

 そのとき歩哨に立っていたクゼはカメラマンに近づくと、カメラと小銃交換してくれと言って、難民キャンプへと入っていった。

 クゼは難民キャンプでは何もしなかった。カメラのファインダー越しにキャンプを眺めたり、折り紙を折ったりしていただけだった(「折り紙」!)。その後キャンプの人たちはクゼに興味を持ち始め、老人が酒を勧めたり、子供に折り紙を追ってやったり、人々の様子を楽しそうにカメラで写したりしていた。クゼには人を引きつける不思議な何かがあった。

 その後人民軍が投降後、日本に帰国することになった部隊から、クゼは忽然と姿を消す。その後の消息は定かではないが、石川が帰りに寄った台湾で、義体の髪は白くなっていたが、間違いなくあれはクゼだったという証言を得たという。なぜそれがクゼだと分かったかといえば彼のまわりに人が集まってきていたからだ――。

 話が、少しずつ繋がり始めた。今後の展開が楽しみ。

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