……去年の末いち早く手に入れたのにこれまで感想を書けなかったのは、聴いた人なら理解してくれるだろう。どこから手を付けたらいいのか分からない。手がかりがないんじゃなくて、手がかりが多すぎる。
カリドルのサイトで行われている「コメント99人斬り」に寄せられているコメントを読んで思うことは、このアルバムと同じようなものだ。言ってることがひとりひとりちがう。多少オーバーラップしながら。
話は変わるが、大昔NHK−FMで「サウンドストリート」という番組があって、今となっては御大となっている渋谷陽一とか坂本龍一とか山下達郎とかが番組を担当していた。
坂本龍一のサウンドストリートの目玉とも言えるコーナーがあって、それが「デモテープ特集」だ。約一時間、リスナーから寄せられたカセットテープ(!)を掛けて坂本龍一がそれにコメントを付けていくという企画なのだが、当時の宅録少年少女(十代を中心に三十代くらいまでいたと思うが)は必ず聴いていたはずだ。そこの赤面しているあなたも聴いていたでしょう?(テイ・トウワはあれがきっかけでメジャーになったのだろうか? 頭ひとつ出てたから)。ちなみに、当時の番組のテープは今もあるけど、聞ける状態にあるかどうかは不明。
で、私は『ドラゴンタイガーエスカルゴ』を聴いて、何となくあの血脈を見出してしまった。宅録に命賭けます的情熱(実際この作品はマスタリング以外宅録)。
で、それはそれとして、じゃあ完成したこのアルバム自体はどうなのさと聞かれると、言葉に詰まってしまう。批評不可能ではないが、批評を拒絶している。でも私が書こうとしているのは批評なんかじゃなくって、ささやかな感想に過ぎないのだが……。
超絶ポップミュージックなのだけど、ヒットチャートにしか登場しないようなポップミュージックしか聴かない人が聴いたらたいていの人は頭の中に解析するプログラム(もしくは抗体)を持っていないと思うので、拒絶するか、混乱するか、虜になるか、いずれにしても「アイム・ショックド」という事態になるのだろう。友達になるとしたら、混乱したり虜になる人がいいな。
ひとつ言えることは、昨年最後に出た音楽最終兵器だということだ。
何を言ってるのかわかんないよというそこのあなた! 取りあえずは買って聴いてみてね。カワイイ曲から爆音系まで、テクノから童謡まで、なんでも取り揃っています。でもこれって踊れる曲ってないよね。テクノ系(?)っぽいのは必ずリズムが引っ掛かってたりするから……踊らせないってわけですね(実はそういうところがものすごく好きなんだけど)。
そうそうそれから、詞が素晴らしいです。どうしたらこんな言葉が頭の中から出てくるのか。嫉妬。アイム・ショックド。
書くべきことがちっとも書けていないような気がしますが、これで勘弁してください。
曲目
01.アイム・ショッックド
02.BOLO BOLO
03.Drum
04.遺伝子リコピー
05.うじ虫
06.no pc
07.Azalea'n Rose
08.ラスボス
09.crip
10.dot
11.チャミちゃん
12.暗闇の中
13.Alex Expander
14.お嫁さんが欲しい
15.俺いい奴 俺悪い奴 (Live at 渋谷・青い部屋 2002.7.21)
16.Slush (Live at 吉祥寺・MANDA-LA 2 2003.8.23)
(カリフォルニアドールズ公式サイトは左側サイドバー参照)