« 白水uブックス版 カフカ・コレクション(BlogPet) | Main | きっと立つことさえできないけどね(BlogPet) »

2006.04.16

『Beautiful∞p』 Asian Beauty (吉田アミ)

 去年の今頃からかな? CD買うんだけど聴けなくなっちゃって。いや、あの頃はまだ聴けたんだ。多少は。半年ほど前に大きく体調を崩して現在に至るのだけど、その前のやけに体力を消耗する夏頃からほとんどCDを聴くことができなくなった。パワー不足。

 今もパワー不足なのだが、耳・音楽系は復活してきて、でも首を痛めていて、横たわっていないと辛い。ステレオ寝室とは別室にあるので使えない。

 そこでiPod nanoを購入した(ハードディスクはうざい)。音質的にはステレオには太刀打ちできないが、意外とうまく作ってあって、付属のイヤホンでそこそこ音楽を楽しむことができる。大型のヘッドホンも接続してみたが、アラが耳についてだめだった。

 それから、少しずつ、買いためて聴いていなかったCDを聴き始めた。最初は通しで聴くのが辛かったのでシャッフル機能を使って。あれはなかなか個人的には好きな機能だ。

 前置きが長くなったが、そういうわけで、ようやく『美しき無限無限ループ』にたどり着いた。

 Asian Beautyこと吉田アミさんが十代後半に宅録で作った作品群。どうでもいいことだが、私も同じくらいの年齢のときに宅録をやっていた。才能のある人は違うなと思い知らされたと同時に、吉田アミさんが使っていた「チープな」機材が、私の頃にはとてもじゃないけど手にすることができなかった。高くて。機材持ってる友達もいなかったし。

 このアルバムを聴いているとものすごく気持ちよくて、横たわって聴いているものだからいつの間にか途中で眠ってしまう。退屈だというのではなく。

 それと、このアルバムを聴いていると「プレステ」時代の幻の、『LSD』という、何の目的もなくフィールドを歩き回るという一部のゲーマーにだけ大受けしたゲームがあったのだが、なぜかそれを連想させる。『LSD』では壁抜けをするとぜんぜん別な場所に放り出されるのだが、その度に場面が断片化される。この三十トラックあるアルバムもある種の断片化だ。

 あと、吉田アミ名義で出された『虎鶫』というアルバムもこれも徹底的に断片化された傑作アルバムがあるわけだが、断片化とは別に何か非常に近いものがあるように聞こえる。『虎鶫』は非常に洗練されているが、『美しき無限無限ループ』は、若いのに何をやってもいい(普通の若者は既存のカテゴリーから自由になれない)といういい意味での非常識さのたまものだ。これほど好き放題やるのは普通の青少年にはほとんど不可能なことだ。

 首も頭も不自由なのでどうもうまく書けないが、ある意味吉田アミさんはこの頃から何かを悟っていたのではないかという気がしてならない。悟っていたって、いわゆる悟りじゃないよ。たぶん無意識のうちに何かを「わかっちゃっていた」ってことだ。

|

« 白水uブックス版 カフカ・コレクション(BlogPet) | Main | きっと立つことさえできないけどね(BlogPet) »

Comments

感想ありがとうございます!
虎鶫との対比「でしょー!」という感じです。WIREでは若干、酷評されたようですが(虎鶫がめちゃくちゃ評価高いもので)表裏一体。どっちも私だというところが面白いのになあと思うんですけどねえー。

Posted by: 吉田アミ | 2006.04.18 02:35 PM

どもです。そう、時間差攻撃の表裏一体だと思うんです。『虎鶫』は分かりやすいと思うんですけど、『無限無限ループ』のほうはある意味パンクだから、『虎鶫』を絶賛するような人にはなかなか理解できないのかも。ちょっとWIRE、力量不足。

Posted by: まいまい | 2006.04.18 09:11 PM

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 『Beautiful∞p』 Asian Beauty (吉田アミ):

« 白水uブックス版 カフカ・コレクション(BlogPet) | Main | きっと立つことさえできないけどね(BlogPet) »