2006.01.23

心ならずも

 都内某所の住宅街を彷徨。路面は凍結し、寒風吹き荒び、嗚呼、わたくしの命運もここまでかと何度か思った。というのも、そのあたりの土地勘が全くないわけではないのだが、そのあたりは迷宮として知られている地域なのであった。

 不可解な交差点、倒壊寸前の納屋、大量の鶏、地下世界からやってきたような大熊猫と犬の遊具が置いてあるだけの迷宮の行き止まりにある公園、車に乗っていたら脱出不可能な一通、他の道路につながっているようにしか見えない行き止まり、太い道路と細い道路が複雑に交差し、月に一度はサバトの集会場と化す月極駐車場……。

 迷宮の果てのタアミナルの喫茶店で暖を取るも、暖房の利きが悪くコートを脱ぐことができない。北風と太陽の呪いか。チョコレェト・ケエキを切り刻む手も凍えんばかり。コーヒーを飲むことでやっと暖を取る。

 別のタアミナルに移動し、マック・ドナルドへ寄るも、やはり寒く凍えんばかり。マック・シェイクを啜りながら嫌いなはずのバス・ルームに思いを馳せる。そのくらいわたくしの身体は凍えていた。

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2006.01.21

雪と微熱

 お昼頃目を覚ましてカーテンを開けたら雪が積もっていた。何か羽織ることさえ忘れてベランダの雪の、きれいそうなところを、さくっと掬って、掌が凍りそうになるほど冷たいのも無視して食べた。

 東京なのにパウダースノー。道路にはなかなか雪が積もらない。つまんない。

 簡単な食事をしてからもう一度ベッドに潜り込む。眠いけど眠れない。カーテンを閉めていてもガラス越しに寒さが部屋の中に流れ込んでくる。エアコンじゃ足りない。それにエアコンは寝室にはない。

 自分の体臭のしみ込んだベッドと布団の間に挟まって、夢を見ることを願う。

 気が付くと部屋の中は雪明かりに照らし出されていて、微熱っぽい。風邪を引いたのかもしれない。インフルエンザじゃないといいけど。そう口に出してみると悪寒の錯覚が。

 暗くなってからアパートの部屋を出た。玄関の前に男の人の足跡が半分埋もれていた。いったい誰が雪の日に私を訪ねてきたのか。

 階段を滑り落ちないようにゆっくり降りて、郵便受けの前まで行くけど開けるのが億劫でやめにする。手袋を取るのも嫌だったし。

 道路は轍の跡がシャーベット状になっていた。ぐしゃぐしゃシャーベットを踏みつぶしながら歩くんだけど、不思議と寒くはなかった。

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2005.10.26

秋日和

 病院の帰りに寄ったスタバで老人に話しかけられた。

 おじいさんというよりも老人。老人と海、の老人。矍鑠としているというのとも違うし、老紳士というのとも違うし、かといって疲れ切ったというのでもない。自然体。「暑いね」って。スタバで話しかけられたの初めて。

「こないだ新宿行ったけど、半袖だったよ」それだけ言うと、席を立って、サングラスを掛けて、自転車で颯爽、というのとは違うけど去っていった。微妙なアヴァンチュール。

 夕方の六時頃から二時間半くらい眠ってしまう。医者に昼寝は認められていたんだよ。でも目覚まし掛けて1時間とか限定で。

 でもね、それだけ寝たらすっきりしたよ。でも、明日の午前四時とかに中途覚醒に悩まされないかちょっと心配。あとね、今日はちょっと動きすぎたかなって。勘違いしてまだ発売になっていない本を探して紫外線の下を歩き回りすぎた。

 郵便局にも行ってしまった(半分しか目的達成できなかったけど)。

 午後にきょうだいと長電話してしまった。

 ネットにしがみつきすぎた。

 医者からはもっとブレーキを掛けるように言われている。でも気が付くとアクセルを踏み続けてしまう。私にブレーキはついてないの! ってそれじゃあ死ぬよ。

 ああこまったとか思いながら紫外線降り注ぐ陽の下で、心地よい秋風と戯れながら、「こういう問題について考えるには情緒を極力排しなければならない」というのってあまりに幼稚じゃない? とか考えてみたり(だってそれ自体あまりに情緒的じゃなくって? それにどうしてそんなに情緒=情動を恐れるのかしらね。男の人って変)。

 まあ疲れるわな。

 ジャンクフードで夕食。やさぐれてみる。最近お気に入りのドクターペッパー。

 ああ、このまま行けば飛べる! でも飛ばない。やめとく。お休み。まだしばらく寝ないけどさ。それこそ中途覚醒どころか早朝覚醒して時間をもてあましてしまふ。

 でも、紫外線は別にして、日に当たるのも悪くはないね。日傘持ってないのが残念。乙女だけどヤンキーちゃんだからね、基本的に。

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